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 太陽電池モジュール排出見込量
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今回は、太陽光パネルを中心とする発電設備の廃棄が将来増えることに備え、資源エネルギー庁(経産省)と環境省がリサイクルを円滑にする仕組みを整える方針をまとめていることについてご紹介します。

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1.使用できなくなった太陽光パネルの廃棄がピークを迎える

政府は製品寿命を迎えた太陽光パネルの廃棄量が 30 年代後半にピークを迎えると想定しています。再生可能エネルギーの普及は既存の太陽光設備の適切な設備更新や建て替えが前提となり、廃棄が滞らないような対策が急がれていました。

同時期に設置された太陽光パネルは、いずれ大量廃棄の時期を迎えます。ピーク時には、使用済み太陽光パネルの年間排出量が、産業廃棄物の最終処分量の6%におよぶという試算もあります。そのため、一時的に最終処分場がひっ迫する懸念があります。

太陽電池モジュール排出見込量

太陽電池モジュールの排出見込量を、寿命 20 年・25 年・35 年別に示したグラフです。
(出典)環境省HP「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第一版)

日本では、年間約 4,400tの太陽電池モジュールが使用済となって排出されており、そのうち約 3,400tがリユースされ、約 1,000tがリサイクルまたは処分されていると推計されている。2030 年代後半には年間約 50~80 万 tの太陽電池モジュールが排出される見通しであり、設計・施工の不具合や災害、故障、リプレイス等によって、一定割合は製品寿命よりも前倒しで排出されることも想定されています。

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2.コストがかかる太陽光パネルが、放置・不法投棄されるのでは?

まず、太陽光パネルが適切に廃棄されないのではないかという懸念です。
建物に設置された太陽光については建物の撤去の際にいっしょに廃棄されるのが一般的であること、また借地でおこなわれている事業用太陽光発電については借地期間終了の際に現状復帰が義務付けられているのが一般的であるなどのことから、放置される可能性は低いと考えられています。
問題となるのは、事業者が所有している土地でおこなわれている事業用太陽光です。実質的に事業が終了していても、コストのかかる廃棄処理を行わずに、有価物だとしてパネルが放置される可能性があります。

また、いずれのケースでも、廃棄の費用を捻出できないあるいは準備しなかったなどの場合、他の土地に不法投棄されるのではないかという懸念もあります。

こうした放置や不法投棄をふせぐためには、電気を売って得た収入の一部を、廃棄などの費用としてあらかじめ積み立てておくことが有効です。しかし、実際に積み立てをおこなっている事業者は少ないのが実態です。
事業者に、将来的な廃棄を想定して廃棄・リサイクル費用の確保をしているか尋ねた際の回答を示したグラフです(経済産業省・資源エネルギー庁資料より)。

3.有害物質が流出・拡散されるのでは?

太陽光パネルには、パネルの種類によって、鉛、セレン、カドミウムなどの有害物質が含まれており、それぞれ適切な処分方法があります。
ところが、含まれる有害物質の情報が廃棄物処理業者に伝わっていないために、適切な処分が行われていないケースが見られます。たとえば、本来は水漏れをふせぐ設備のある「管理型最終処分場」という場所での埋め立てが望ましいのに、そうではない処分場に埋め立てている、といったケースです。

こうした有害物質の流出・拡散が懸念されるケースが起こる背景には、そもそも廃棄物を出す事業者が有害物質の含有を知らなかった、あるいは認識はしていたが確認していなかったというケースもあります。また、太陽光パネルメーカーも積極的に情報開示をおこなっていないケースもあります。

4.いま検討されている、太陽光パネルの適正な廃棄を促す取り組み

こうした懸念に対して、現在、リサイクルを含む太陽光パネルの適正処理を進めるために、次のような具体的検討が進められています。

事業者がきちんと廃棄できるしくみ作り

太陽光パネルの廃棄処理は、ほかの事業とおなじように、発電事業者や解体事業者が責任をもつことが原則です。だからこそ、FIT の再エネ買取価格は、廃棄に必要な費用を盛り込むかたちで設定されています。
一般的にはあまり知られていませんが、これは FIT 制度が創設されて以来続けられてきた価格設定の考え方です。

しかし、廃棄する時点で事業者の資金力が不十分であるといった場合には、事業終了後の太陽光パネルの放置や不法投棄のリスクが高まります。そのため、すでに FIT 買取価格の中から事業者に廃棄費用を支払っていることも踏まえながら、事業者による廃棄などの費用の積み立てを担保するために必要な施策について、検討を開始しています。たとえば、第 3 者が外部で積み立てるしくみ作りなどが考えられます。

また、すぐに着手できることとして、現在の FIT 制度を強化する検討も始まっています。具体的には、FITの認定を受けた事業者に、廃棄などの費用に関する積立計画・進捗状況の報告を義務化して、その状況を公表するとともに、必要に応じて報告徴収・指導・改善命令をおこなうことが検討されています。

情報不足を解消して有害物質を適正に処理

有害物質の適正処理には、情報不足が課題でした。このため、2017 年 12 月に太陽光発電協会が策定した「使用済太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供のガイドライン」にもとづき、太陽光パネルメーカーおよび輸入販売業者が、産廃事業者などに積極的に情報提供をおこなっていくことが望まれます。現在、一部の事業者が対応していますが、今後はさらに多くの事業者の対応が必要です。

太陽光パネルのリユース・リサイクル促進

最終処分場のひっ迫を緩和し、資源の有効活用を図るためには、太陽光パネルのリユース・リサイクルを促進する必要があります。ただし、現実にはまだ大量廃棄は発生していないことから、リユース・リサイクル・処分の実態が把握できていません。まずは正確な実態を把握するために、コストも含めた基礎的で包括的な実態調査を、環境省・経済産業省(資源エネルギー庁)共同でおこなうことが求められています。

この実態調査から、将来出てくると想定される廃棄物の量や、リサイクルや廃棄処理の費用、リサイクルされた材料の需要動向などを把握し、リサイクル制度の必要性について検討を進めていきます。
また、太陽光パネルは、その多くはガラスで構成されていますが、リサイクルの時に価格がつきやすい金属(アルミ、銀など)も含まれています。リサイクルを低コストで効率的におこなうことができれば、資源が有効に利用され、最終処分場のひっ迫の問題も緩和する可能性があります。

【参考】環境省資料(ポスター)
解体・撤去業者及び廃棄物処理業者の皆様へ 太陽光発電設備を廃棄処理する際の留意点について
【参考】ドイツ・フランスのモジュール処理

海外の取り組み

ドイツ

ドイツでは、太陽電池モジュールメーカーが第三者機関に処理委託することが可能と国内法で定められているため、国内法に準拠した処理業者を選択し、使用済太陽電池モジュールの処理を委託することが可能となっている。
住宅用の太陽電池モジュールが廃棄された場合、住宅から回収ポイントまでの輸送費用は所有者が負担するが、回収ポイントからリサイクルプラントまでの輸送費用、及びリサイクルにかかる費用は、WEEE 情報等管理団体(Clearing House)が計算し、太陽電池モジュールメーカー等が負担している。なお、将来の廃棄処理費用についての保証額(Guarantee)として、各太陽電池モジュールメーカーが負担する費用は、「住宅用 太陽電池モジュールの販売重量 × 回収率(予測値)× 重量あたり必要費用」に基づいて算出されている。

その一方で、非住宅用の太陽電池モジュールは、発電事業者と太陽電池モジュールメーカーの間で、その回収・リサイクル・埋立処分に係る費用負担を取り決めることが可能となっているが、通常の産業廃棄物と同様に、発電事業者が負担するケースがほとんどである。

ドイツ全体における太陽電池モジュール排出量は、政府・業界団体も把握できていないが、太陽電池モジュールの処理を手掛ける事業者の1つである PV CYCLE ドイツが、2010~2016 年に回収した使用済太陽電池モジュール重量は、8,000トンを上回る。

PV CYCLE ドイツでは、排出された使用済太陽電池モジュール(住宅用)の枚数が、40 未満の場合には、自治体に設置された回収ポイントへの輸送までを所有者が手掛け、それ以降のプロセスは PV CYCLE が実施する。その一方で、排出されたモジュール(住宅用)が 40 枚以上または非住宅用モジュールの排出の場合には、太陽電池モジュールの解体・撤去までは所有者が、輸送以降のプロセスは PV CYCLE が実施する。

フランス

フランスにおける廃棄物処理では、「通常の産業廃棄物処理スキーム」と「メーカーが責任を負う処理スキーム」が併存している。太陽電池モジュールは、改正 WEEE 指令を受けて「メーカーが責任を負う処理スキーム」の対象製品に追加された。「メーカーが責任を負う処理スキーム」において、各メーカーは、独自に構築している処理スキーム、もしくは政府認可を受けた事業体(エコ・オーガニズム)が構築する共同処理スキームのいずれかを選択する必要がある。

WEEE 指令の対象をフランスに上市する電機・電子機器(EEE)メーカー等は、エコ・オーガニズムへの登録が求められている。なお、現在、太陽電池モジュールに係るエコ・オーガニズムは「PV CYCLE フランス」のみとなっている。

フランスでは、太陽電池モジュールに「Visible Fee」と称する費用が、新製品の購入者に一律で課せられている。VisibleFee は、現在および将来に発生する回収・リサイクル・埋立処分に係る費用の一部に充当されていると推定される。なお、Visible Fee は、フランス当局の計算式(Ecodesign and Design)に基づいて算出されており、徴収した処理費用の管理はエコ・オーガニズムである PV CYCLE フランスが手掛けている。
(「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けた ガイドライン」平成 30 年 環境省 環境再生・資源循環局 総務課 リサイクル推進室より)

適切なメンテナンスをして太陽光発電所の資産価値を高めよう!!

おおなる

太陽光発電においてパネルの維持・管理のための適切なメンテナンスは必要不可欠です
しかし、低圧発電所は売電による投資目的で運用されているものが大半であり、費用対効果を見つつメンテナンスを行うことも重要です。

費用対効果を見るに当たって、行うメンテナンスがどれだけ売電収入に貢献するか、という視点で判断するといいでしょう。

売電収入は発電量に直結します。つまりは「得られる発電量」と、「発電量を維持するためのメンテナンスコスト」を照らし合わせて判断するのが理想です

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