
皆さん、ペロブスカイト太陽電池ってご存じですか?

2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、再生可能エネルギー(再エネ)の拡大は必要不可欠です。しかし、平地面積の少ない日本では、太陽光発電の設備を設置するための物理的な適地の制約があります。そこで、再エネのさらなる導入のために、注目を集めているのが「ペロブスカイト太陽電池」です。
ペロブスカイト太陽電池とは?
現在、積水化学工業株式会社・積水ソーラーフィルム株式会社、日揮株式会社、株式会社東芝、株式会社リコー、株式会社カネカ、株式会社エネコートテクノロジーズ、株式会社アイシンなど、様々な企業が研究・開発している、日本が世界的な優位性を持つ次世代太陽電池として注目されている技術です。
従来のシリコン太陽電池と比べて「薄い・軽い・曲がる」という特徴を持ち、建物の屋根や壁面など、これまで太陽光発電設備の設置が難しかった場所への導入が期待されています。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構のHPで紹介されているフィルム型ペロブスカイト太陽電池(積水化学工業・積水ソーラーフィルム)
経済産業省およびNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、社会実装の拡大に向けて「フレキシブル太陽電池を利用した太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン」を2026年3月18日に公表し、安全性・信頼性の確保を図っています。
シリコン系太陽電池とその課題
太陽電池というと、黒い大型のパネルが広い土地にずらりと並べてある光景や、住宅の屋根などに設置されている風景を思い浮かべるのではないでしょうか。これらの多くは、「シリコン系太陽電池」と呼ばれるもので、発電層がシリコンでできています。現在、もっとも普及している太陽電池で、そのシェアは95%を占めています。

シリコン系の太陽電池は、耐久性に優れ、変換効率(照射された太陽光のエネルギーを電力に変換できる割合)も高いという特徴があります。しかし、太陽電池自体の重さや屋外で耐久性を持たせるためのガラスの重みによる重量があるため、設置場所が限られており、新たに太陽電池を設置できる適地が少なくなってきているのが懸念材料でした。
平地面積当たりの太陽光発電の導入量は日本が1位

(出典)外務省HP(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)、Global Forest Resources Assessment 2020(http://www.fao.org/3/ca9825en/CA9825EN.pdf) IEA Market Report Series – Renewables2020(各国2019年度時点の発電量)、総合エネルギー統計(2020年度確報値)、FIT認定量などより資源エネルギー庁作成

上のグラフが示す通り、すでに日本は、平地面積当たりの太陽光発電の導入量が主要国で1位となっており、今後どのように設置場所を確保するかが課題となっています。
この懸念を解決する技術として、脚光を浴びているのが「ペロブスカイト太陽電池」です。薄くて、軽く、柔軟であるなど、シリコン系太陽電池にはない特性から、これまでの技術では設置が難しかった場所にも導入できるものとして期待が高まっています。
ペロブスカイト太陽電池の特徴
ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト結晶構造を持つ材料を発電層として利用した太陽電池です。
「ペロブスカイト」は、次のような形態の結晶構造を指します。ペロブスカイト太陽電池は、この構造を持つ化合物を発電層として用いるもので、さまざまな特長があります。

上の2図とも経済産業省・資源エネルギー庁資料による。https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/perovskite_solar_cell_01.html
主なメリット
①軽量で建物への荷重負担が小さい
シリコン系太陽電池が重くて厚みもあるのに対し、ペロブスカイト太陽電池は小さな結晶の集合体が膜になっているため、折り曲げやゆがみに強く、軽量化が可能です。
②柔軟性があり曲面への設置が可能
③壁面や耐荷重の低い屋根にも設置できる
④印刷技術を活用した大量生産が可能
ペロブスカイト太陽電池は、材料をフィルムなどに塗布・印刷して作ることができます。製造工程が少なく、大量生産ができるため、低コスト化が見込めます。
⑤日本が主要原料であるヨウ素の世界有数の産出国である
ペロブスカイト太陽電池の主な原料であるヨウ素は、日本の生産量が世界シェアの約3割を占めており、世界第2位です(第1位はチリで約6割)。そのため、サプライチェーンを他国に頼らずに安定して確保でき、経済安全保障の面でもメリットがあります。
これらの特徴により、従来未利用だった都市部のビル壁面や倉庫屋根などへの導入が期待されています。
主な課題
一方で、
①長期耐久性
②水分や高温への耐性
③施工方法の標準化
④発電性能の長期安定性
⑤リサイクル対応
などの課題もあり、適切な設計・施工が重要になります。
様々な用途で考えられるペロブスカイト太陽電池
ペロブスカイト太陽電池には、主に基板の違いによる「フィルム型」と「ガラス型」があります。さらに、既存のシリコン系太陽電池などと組み合わせて発電効率を高める「タンデム型」も研究・開発が進められています。
違いを整理してみると
フィルム型
・プラスチックフィルムなどを基板として用いる
・薄く、軽量で柔軟(曲げ可能)
・曲面や耐荷重の低い屋根などに設置可能
・湿気や熱、紫外線の影響を受けやすく、耐久性の向上が課題
ガラス型
・ガラス基板を用いる
・湿気の影響を受けにくく耐久性に優れる
・既存用途に加え、ビルや一般住宅の窓ガラスなどへの応用が期待される
・柔軟性はなく、曲げて設置する用途には向かない
タンデム型
・ペロブスカイト層(上層)とシリコン層など(下層)を組み合わせた構造
・単体の太陽電池より高い変換効率が期待される
・既存用途を含む幅広い展開が期待される
ペロブスカイト太陽電池と従来のパネル型太陽光電池の接続方法に違いはあるの?
はい。基本的な電気的接続の考え方は従来の太陽光パネルと同じですが、施工方法や配線設計にはいくつか重要な違いがあります。
1) 電気接続の基本は同じ
ペロブスカイト太陽電池も太陽光で直流(DC)電力を発生させるため、
- ここに文章入れるモジュールを直列接続して電圧を上げる
- 並列接続して電流を増やす
- 接続箱(接続盤)
- パワーコンディショナ(PCS)
- 系統連系設備
という基本構成はシリコン系太陽電池とほぼ同じです。発電した直流電力をPCSで交流に変換して利用します。
2) 施工上の違い
従来シリコンパネルは、
一般的には、
パネル
↓
裏面の接続箱
↓
MC4コネクタ
↓
ケーブル配線
↓
接続箱
↓
PCS
という構成です。
パネルはアルミフレーム付きで架台に固定されます。
一方、ペロブスカイト太陽電池のフィルム型の場合は、
フィルム型モジュール
↓
フレキシブル配線
↓
端子ボックス
↓
PCS
となります。
屋根や壁面へ直接貼り付けるため、
配線を隠蔽する必要がある
曲げ部の断線対策が必要
防水処理が重要
といった点が従来パネルより厳しくなります。
3) 接地(アース)の違い
従来パネルは、
アルミフレーム
架台
を接地するのが一般的です。
一方、フィルム型ペロブスカイトはフレームレス製品が多いため、
導電層の接地方法
金属支持材の接地
等電位ボンディング
を個別に検討する必要があります。
ペロブスカイト太陽電池と従来のパネル型太陽光電池の比較
従来のシリコン太陽光パネル

特徴
・パネルが重い(12~15kg/程度)
・架台を設置して固定
・フレーム付きで剛性が高い
・配線はパネル裏面の接続箱からMC4コネクタで接続
フィルム型ペロブスカイト太陽電池

特徴
・非常に軽量(数百g/㎡程度)
・屋根や壁に直接貼り付け
・曲面への施工が可能
・架台が不要な場合が多い
・配線は端子ボックスから接続
・防水処理が極めて重要
| 従来のシリコンパネル | ペロブスカイト太陽光電池 (フィルム型) |
|
| 重量 | 重い(15~25kg/程度) | 軽量(数百g/㎡程度) |
| 設置方法 | 架台が必要 | 接着施工(貼り付け) |
| 形状 | フレーム有り | フレキシブル(局面対応可) |
| 防水性 | 既存の施工ノウハウが豊富 | 防水処理が重要 |
| メンテナンス | 設置後の通気層が確保しやすい | 交換・修理の設計配慮が必要 |
建材一体型(BIPV)の場合
今後普及が期待されるのが
発電する窓ガラス
発電する外壁
発電する屋根材
などの建材一体型ペロブスカイトです。
この場合、電気配線が建物内部に組み込まれるため、
建築工事
電気工事
防水工事
を一体で設計しなければなりません。従来の「屋根の上にパネルを載せる」工法とは大きく異なります。
実務者が特に注意する点
ペロブスカイト太陽電池で重要なのは電気接続そのものよりも、
接着部の耐久性
防水性能
配線の曲げ半径
紫外線劣化
メンテナンス時の交換性
です。そのため、「電気的な接続方式は従来とほぼ同じだが、施工方法はかなり異なる」と理解するのが最も適切です。
特にゼネコンや設備設計者の間では、ペロブスカイトは「電気設備」だけでなく「建築外装材」としての扱いが重要になる点が、従来パネルとの大きな違いとされています。
まとめ
ペロブスカイト太陽電池は、軽量・柔軟という従来技術にはない特長を持ち、日本の再生可能エネルギー拡大の切り札として期待されています。特にビル壁面や耐荷重の小さい屋根など、従来設置が困難であった場所への導入が可能となることで、都市部における再エネ導入量の大幅な増加が見込まれています。

電気的な接続方法の基本は同じですが、施工方法や防水・配線処理、建築との一体化の考え方が大きく異なります。ペロブスカイト太陽光電池は、「建材と一体になった発電材」としての設計・施工が重要になります。

太陽光発電について、何なりとお気軽にご相談ください。
▼ 次世代型O&Mサービス「お元気メンテ」はこちら
https://www.solaromgeo.com/
保険付帯「お元気メンテ」では、通常の火災保険より安価な補償が利用できます。太陽光保険&メンテナンスの【無料診断】もご活用ください。




